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人工膝関節置換術

当院の人工膝関節置換術について

現在では変形性膝関節症の原因、予防策、そして対応方法が少しずつ解明されてきています。 また決して画一的な治療ではなく、患者さまの状態にあった多くの治療法があります。 膝の調子が気になる方、手術に不安、疑問のある方は気軽に相談してみてください。
人工膝関節置換術は、成績の安定した手術です。 ほとんどの場合、長期間にわたって、膝の痛みが軽くなり、歩行が楽になります。


人工膝関節置換術とは

関節のかみ合っている部分(互いに擦れあって動いている部分)を人工の物に代えてあげることで、傷んだ関節を再建し再び痛みなく歩けるようにする手術です。

施術対象

変形性膝関節症、関節リウマチ、大腿骨顆部壊死、骨折などの病気またはケガが対象になります。 これらのうち膝関節の壊れ方程度が強く、自分の骨や関節を残しての手術では治すことが難しい状態になっていて、痛みが強く日常生活に支障をきたしている方に行います。

人工膝関節の長所

関節にとって大切な、

  1. 痛くない  
  2. 動かせる  
  3. 支えることができる

の3つの要素を保つための治療が行えます。 また、治療の効果が確実で、治療期間も他の手術法(骨切り術など)に比べて短く、1ヶ月程度の入院で可能です。

人工膝関節置換術の実際

麻酔後、消毒と清潔化操作を行ったあと、膝の正面を15cm程度縦に切開し、変形した軟骨と骨を人工関節に取り替えます。 手術時間は1時間半~2時間程度です。 体格がよかったり、変形が強かったりすると、皮膚切開が長くなり、手術時間もさらにかかる場合もあります。 当科で主に使用している機種は、日本製のナカシマメディカル社製千葉大式のものとアメリカのZimmer社製のものです。 これらの機種は日欧米で多数使用され、安定した成績を残している標準的な機種のひとつです。 日本式の生活に合わせた深屈曲対応タイプのものも開発され、当院でも使用しています。

自己血貯血

人工膝関節置換術は通常輸血が必要な手術ですので、手術前に自分の血液をあらかじめ貯めておき、手術に際しては出血を自分の血液で補う方法をお勧めするようにしています。 自己血輸血を希望される場合、手術の2~3週間前から1~2回、外来で自己血の採血をします。 貧血などのため、自己血を貯めることができない場合があります。 また、自己血だけでは輸血が不足する場合は、日赤血による輸血が必要となります。

人工膝関節の欠点・合併症

人工膝関節置換術は決して小さな手術ではありませんが、現在では、十分に安全な手術となっています。 それでも起こり得る合併症や人工膝関節の欠点について知っておくことは大切です。

ゆるみ

骨に人工の関節を植え込む手術のため、徐々に骨との接合部にゆるみがおこる可能性があります。 ゆるみがおこると土台の骨が徐々にこわれていってしまうので、骨が丈夫なうちに人工関節の入れ替えの手術をしなければなりません。 従って、手術後はどんなに具合がよくても定期的にX線検査を行っていきます。

摩耗

人工関節は摩耗しにくい低摩擦の材質で作られていますが、それでも、人間が本来もっている正常な関節よりは10倍以上摩擦が大きいので、長い年月のうちに擦りへってくることがあります。

細菌感染の可能性

体の中に人工関節という異物が入るため、細菌に対する生体の防御反応の働きにくい場所ができてしまいます。 このため、人工関節周囲は普通の状態よりは細菌感染しやすく、また感染してしまうと治りにくいのです。 感染(化膿)が起きてしまうと、人工関節を抜去する事になり、治療は長期間にわたってしまいます。 当院では、感染を予防するために清潔操作への最大限の配慮を行い、専用のクリーンルーム(無菌手術室)の使用、抗生剤の投与、定期的血液検査などの対策をとっています。

血栓性静脈炎

血管内に血栓といって、血の塊ができ、たまってしまうことがあります。これに対しては弾性ストッキング、足の 裏を断続的に圧迫するフットポンプ、血を固まりにくくするお薬などを使って予防します。術後によく足を動かすことも大切です。

違和感

大きな人工物が入るので、手術後3ヶ月くらいは創周囲の痛み、違和感、熱感がありますが、入れ歯や差し歯と同じで半年~1年と経つうちに次第になじんでいきます。

膝の曲がり

最新の機種で最適な手術がなされても完全には曲がりません。 リハビリをあまりやらないと曲がらないうちに膝が固まってしまうこともありますので、しっかりと曲げる練習をするようにします。

人工関節の種類

いろいろな機種が出ていますが、骨に対する固定法の違いと、摺動面(こすれあう面)の材質の組み合わせの違いによって大きく分けられます。 摺動面(こすれあう面)の組み合わせでは金属対ポリエチレン、セラミック対ポリエチレンがあります。

骨に対する固定法による違い。セメント固定とノンセメント固定

セメント固定とは、骨セメント(ポリメチルメタクリレートというアクリル樹脂の一種)を用いて、骨と人工関節との間の隙間を埋めることにより固定する方法で、3次元的に入り組んだ形のところにも充填することが可能で、手術後の初期の固定に優れることが特長です。
ノンセメント固定とは、直接人工関節と骨とをくっつける方法です。 人工関節の金属と接している骨にひびが入ったとしても、骨は生きているので修復機転が働いてくれる可能性があり、固定の永続性が期待できます。 しかし、人工関節を、3次元的に骨のなかにぴったりと入れるのは不可能であり、どうしても境界面に骨ができるのを待つことが必要で、初期の固定力は若干落ちます。

摺動面

この組み合わせは、いかに摩耗および摩擦力を少なくするかという問題との戦いです。 セラミックは割れてしまうこともあり、当院では金属対ポリエチレンの組み合わせを選択しています。

人工膝関節の耐久性

現在では技術の進歩と素材の開発により手術後15年程度は問題ないように設計され、さらに長期間機能するようになってきています。 しかし関節リウマチのような骨破壊が進行する病気を伴えば、あまり長期間の耐久性がない場合もあります。

術後のリハビリについて

手術後のリハビリに要する期間は大体2ヶ月間です。 人工関節の機種や固定方法によってスケジュールが多少異なりますが、手術をして2~3日目には車椅子に乗れます。 器械で膝の曲げ伸ばしを行い、理学療法士が、筋力をつけ、膝を曲げるリハビリを行います。 1週後には松葉杖で歩く練習をはじめ、退院の時には杖なしで歩いて帰れます。 膝の曲がりはおおよそ110~140度位です。 はじめは多少痛みがありますが、曲げる練習をがんばりましょう。

退院後の注意点

人工関節の手術後は、徐々に日常生活に慣らしていってください。 馴染んでくるのにしばらく時間がかかります。 定期的外来受診をしての経過観察(X線検査、リハビリテーションを含む)が必須です。 特に、ゆるみと摩耗、骨の変化に関しては、X線上の変化の方が症状よりも先行しますので、早期発見、早期治療のためにも、X線検査は欠かすことができません。

人工関節耐用上の注意(長く人工関節をもたせるための注意)

人工関節はあくまでも「人工の」関節ですから痛みがとれたからといって、激しい衝撃を加えるような乱暴な動きをすると早くいためてしまい、ゆるみの原因となります。 人工関節の耐用年数を上げるためには、日常生活上の活動度が低ければ低いほど良いのですが、Quality of Life(QOL)-人生の価値-を考えますと、活動度をむやみに制限することは、人工関節の治療目的からはずれてしまいます。 したがって、ごく普通の人が、ごく普通に日常行っていることについては、制限しないというのが原則となります。
それ以上の活動については、その活動がその患者さんにとってQOL上どの程度の重みをもっているかということと、人工関節に及ぼすであろう負荷の大きさとを天秤にかけて判断することになります。

感染症に罹患した時の注意

人工関節が体内にあると、人工関節周囲の感染に対する抵抗性が落ちてしまいます。 一旦、人工関節のまわりに感染してしまう(細菌が繁殖してしまう)と、その治療のために、せっかくいれた人工関節を取り出さなけれぱならなくなります。 感染が最も多いのは手術の時ですが、稀に他の感染症から血行性に(血液の循環によって細菌が運ばれて)人工関節周囲に感染してしまうことがあります。 したがって、細菌感染による病気にかかった時には速やかに治療していただく必要があります。 特に、虫歯や膀胱炎などは放置されがちですので、早めに病院で治してもらいましょう。